急性緑内障発作

急性緑内障発作について

急激に眼圧が上昇し、片眼の強い目の痛みやかすみ目のほか、頭痛、吐き気、嘔吐など様々な身体の症状が起こります。放置してしまうと、数日で失明にいたる可能性もあり、非常に危険な状態のため、早急に治療を行うことが重要です。
また、この症状は脳疾患に見間違われるため、眼科の受診が遅れてしまうことがあります。このような症状が見られたら、まずは目の充血の有無と充血した目がかすんで見えるかを確認しましょう。その場合、急性緑内障発作の可能性が高いため、眼科を受診するようにしてください。
緑内障は急性緑内障発作とは病気の成因が異なります。治療はまず点眼で行います。

急性緑内障発作の原因

急性緑内障発作は、元々角膜と虹彩の距離が近い目の質(浅前房もしくは狭隅角といいます)を持っているとなりやすく、そのような目の質を持っている方は、若い頃は遠くがよく見えていたが、老眼鏡が早く必要になったと話されます。短時間に水を多く飲んだり、炎天下で草むしりを1時間以上やっていたり(長時間のうつ伏せ体勢)、目以外の身体の病気で処方されている薬(抗コリン作用)が原因となるなど、きっかけは様々です。
浅前房(狭隅角)の場合、房水の出口である隅角が狭まったり、閉塞することで眼圧が高くなっていき、視野狭窄が出てくると、閉塞隅角緑内障と診断されます。さらに白内障が進行すると、水晶体がぶ厚く膨隆してしまい、虹彩が前方に押し出され、隅角がますます狭まってしまい、急激に眼圧が高くなることがあります。

正常眼と浅前房眼(白内障眼)【カシア2による撮像画像、自験例】

右画像(浅前房眼)は左画像(正常眼)と比べて、隅角が開いていません。水晶体が膨隆しており、虹彩が上方(前方)へ押し出されています。

急性緑内障発作の治療

発作を起こしたら、早急に眼圧を下げる必要があります。治療は以下のものを行います。

点眼・点滴

縮瞳薬(ピロカルピン)の頻回点眼やマンニトールなどの高浸透圧薬の急速点滴を行います。
眼圧が低くなれば頭痛や眼痛は軽くなってきますが、眼圧が下がりきらない場合は下記治療を加えます。

レーザー虹彩切開術

周辺部の虹彩にレーザーで穴をあけ、滞った房水の流れを改善させ、早急に眼圧を下げます。角膜が悪いと虹彩に焦点が合わず、虹彩に穴が開かないことがあり、下記の手術が必要になります。急性緑内障発作を起こした反対眼にも、後日予防目的にレーザーを行います。以前はこのレーザーはよく行われていましたが、レーザーにより角膜に悪影響が出ることが知られている現在では、レーザー治療は行わず予防的な白内障手術が行われます。

急性緑内障発作と白内障手術

緑内障なのに、なぜ白内障手術と思われるかもしれませんが、急性緑内障発作を発症しやすい浅前房眼は、白内障を併発しています。
急性緑内障発作を起こさないようにするために、見え方の改善方法としてではなく発作の予防を目的として、白内障手術をお勧めすることがあります。一般的な白内障手術と方法は同じで、水晶体を人工レンズに入れ替えることによりその厚みが約1/3になります。虹彩を前に押し出していた水晶体が薄くなることによって、虹彩前面と角膜裏面の距離が遠ざかり、発作が起きなくなります。

浅前房眼(白内障眼)と眼内レンズ挿入眼【カシア2による撮像画像、自験例】

右画像(眼内レンズ挿入眼)は左画像(浅前房眼)と比べて、隅角が大きく開いています。上方(前方)へ押し出されていた虹彩が、手術によって理想的な位置に戻っています。

定期検査を受けましょう

浅前房眼は以前見え方が良く目の質が良いと自信を持っていた方の多くにみられます。自覚症状はありませんし、残念ながら急性緑内障発作を起こしてから、眼科で発見される方もまだ多いです。一旦発作を起こしてしまうと、その後ずっと見えづらさを抱えていくことになります。発作で失った視野は回復することができないため、早期発見が大切です。視機能を維持するためにも一度眼科受診をお勧めし、定期的に検査を受けるようにしましょう。

 

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